デイジー

猫のデイジーと暮らしています。

「数と夕方」

管啓次郎さんの最新詩集「数と夕方」

2017年末に発売されました。

 

ひとつ ひとつの作品が詩であり、小説であり、寓話であり、

読み応えがありました。

 

「かかしの神」

初出「suigyu 水牛 」で書かれたときは、たぶん、

大震災の後の福島をテーマにしていたと思われます。

「さすけねえ」という方言、ひきがえるの五本足など。

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本文P90より引用

 

見ると一匹のひきがえるが見上げている

ちょうどいいところで出会った

図書館があったのはどこでしょうか、ぼくは訊ねた

図書館はもうないよ本はすべて流された、とひきがえるは答えた

何も残ってないのですか

残っているのは不動産管理士試験問題集とかそういうのだね

土地の昔のことを知りたいときにはどうすればいいでしょう

かかしに会いに行くんだね、とひきがえるがいった

あの人は動かないけどすべてを知っているよ

 

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 詩の後半、

「元気なバッファローたちの群れが走ってゆく」

この一文で、福島は飛躍しリワイルディングに向かいはじめました。

 

 

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世界中を旅したきた人だからこその言葉があります。

 

「狼が連れ立って走る月」P80より

地球は、人間よりは岩石のものだ。

 

「狼が連れ立って走る月」P27より

「土地の期待に応えること」だ。 土地の許しを得、土地の期待に応え、土地への祈り何世代にもわたってくりかえすことで、人はその土地の一部になる。

 

「狼が連れ立って走る月」P64より

ある土地を名づけ、来歴の物語を生み、話つたえ、動物と植物たちと物質的に交わり、生命を交換し、それを何世代にもわたってくりかえすことで、はじめて人は土地に慣れることができるというのに。

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「数と夕方」の作品の中には

 

「安土、水郷」は、「あどう」がいつのまにか「ゼ」になり

不思議な物語のようです。

 

 

「淡海へ」の中で、

P101 「分け入っても 分け入っても 植物の戦場」

「分け入っても 分け入っても」

これは山頭火の「分け入っても 分け入っても青い山」にかけているのかな。

すごい詩人の詩集の中に、知っているフレーズがあって嬉しかったです。

青い山については、また、今度。

 

「花の科学」「移住論」「ヨハネ挽歌」

結局、全部良かったのです。

「数と夕方」は、付箋でいっぱいです。